「実践! ロジカルシンキング研修」を読んでいます(その2):スキーマが怖いのは本人が気づかないこと
続きです。
いろいろなケースを漏れなく想定して、その中から正しい認識を導き出すことをやっていたら、脳が疲れる。力を温存したいのでさらっと決めつけて処理しちゃう。スキーマによって、脳の情報処理が楽になる。が弊害も2つある。
1.スキーマに合うことだけ重視し、それ以外を軽視する。
ある人には怪我をするというスキーマがある。その人に「あれは高いコップだった」と返すとどんな反応になるか。「よかったね。怪我しなくて。コップはまた買えばいい」
自身のスキーマに合わない情報は受け止められない。共感できない。軽視または無視して、また買えばいいと言ってしまう。
お客さまからのクレームの対応を間違えたり、ニーズをとらえ損ねたりする。
2.スキーマに合うように理解、解釈しようとする。
高いコップを無理やり自分のスキーマに結び付けて理解しようとする。そのとき荒唐無稽なことを言い出したりする。「高いコップって怪我をしやすいんだよね」と真顔で言ったりする。
人事の偉い人が、「飯の食い方を見れば優秀か分かる」と言ったりする。
ベンチャーの社長が「顔のいい奴に無能はいない」と見た目で採用していて、やめさせようとすると、「幼少期から自信をもってリーダーシップを。。」と理屈を述べる。
スキーマの弊害が怖いのは、本人が気づかないこと。正しいと錯覚してしまう。前提や根拠がたまたま自分の経験した強いインパクトのある事例に過ぎない。
スキーマを持たないようにというのではない。脳のメカニズムなのでそれは不可能。
常にスキーマで認識・理解しているという自覚を持つ。放っておくと経験だけをもとにした根拠で決めつけてしまう。その他の考え方から目をそらしてしまう。思考が極端に狭くなったり、偏ったりする。
大切な判断・決定をするときは、脳はスキーマで決めつけ、偏った判断をしようとしていると気がつき、立ち止まるためのブレーキのキーワードとする。
続きます。